抄録
本稿は,脳機能の指標として記録される,事象関連電位(ERP)と機能的核磁気共鳴画像(fMRI)によるconcealed information test(CIT)に関する最近の研究を主に論述した。ERPによるCIT研究によると,犯罪捜査への実務応用に最も有望な指標は,被験者の課題に関連し,まれで有意味な事象に対して生起するP300である。しかしながら,ERPによるCITに対するカウンタメジャーへの対抗策と個別判定の基準が,犯罪捜査に応用する前に確立されなければならない。fMRI研究のほとんどは,被験者が本当のことを言うより,嘘をつくときに前頭前野の大きな賦活を示している。しかしながら,これらの研究は,2つの目的に分かれており,1つ目が嘘に伴う機能的な神経解剖学と認知処理への関心,2つ目がCITをさらに洗練させることに向けられている。今後,CIT手続きに基づく研究が,犯罪捜査のために必要であろう。