生理心理学と精神生理学
Online ISSN : 2185-551X
Print ISSN : 0289-2405
ISSN-L : 0289-2405
原著
身体に馴染む道具設計指標としてのmu律動抑制
平本 亮介金山 範明宮谷 真人中尾 敬
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 37 巻 1 号 p. 4-16

詳細
抄録

ヒトは身体に直接帰属しない道具を操り,様々な目的的行動を遂行する。身体そのものが最も「使いやすい」道具であると考えると,道具を身体そのものであるかのように設計することが道具の扱いやすさを向上させると考えられる。しかし,道具が身体そのもののように感じられるかを客観的に測定する方法は明らかではない。本研究では,身体外部の対象を自己身体の一部であるかのように誤認させる現象である,ラバーハンド錯覚を対象に身体表象の更新が生じる時間窓(0―50秒)に特異的な神経基盤について検証を行った。その結果,左頭頂領域におけるmu律動抑制が,身体表象の更新期間において観察されることが明らかとなった。これは,扱いやすい道具の設計について感性工学的アプローチを行う際に,mu律動を指標とした検証が行える可能性を示唆している。

著者関連情報
© 2019 日本生理心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top