抄録
【目的】現在わが国の食生活は内食、中食、外食の三形態からなり、その中でも近年は中食の占める割合が増加している。30年前までは家庭で作られていたおにぎりについても、コンビニエンスストア(コンビニ)やスーパーなどで売られ、その売り上げ量も高い。市販のおにぎりと、自家製のおにぎりの相違について、味、含まれる成分、保存性の3つの観点から解析し検討した。
【方法】代表的な6店舗のコンビニで売られている、梅干のおにぎりをサンプルとした。含有する成分については、表示にもとづいて解析した。嗜好については、予備実験において最も好まれたもの、最も好まれなかったもの、自家製のものの3種について順位法による官能検査を行った。官能検査は学生(18_から_20歳)をパネルとした。同時に五味識別検査も行い相関を検討した。飯に含まれる成分であるアミノ酸については、遊離アミノ酸分析を行い比較した。遊離アミノ酸は70_から_80%アルコールで抽出し、島津アミノ酸分析計で定性、定量を行った。コンビニのおにぎりの消費期限は、味と保存性の点から27時間前後ということである。味については経時的に老化などの変化を調べ、保存性については、20℃で保存した場合の一般生菌数と大腸菌群数を測定することにより調べた。
【結果】コンビニのおにぎりの含有成分については、メーカーにより異なっていた。添加物数が少ないものは、官能検査でもおいしいという評価であるが、添加物数が多いものは味も劣る傾向であった。学生の好む順位は、自家製が1位であったが、他のものを好むものもいて結果はばらついていた。五味識別検査において識別正解数の多い集団のほうが、自家製おにぎりを好む傾向にあった。アミノ酸分析の結果は、飯においても米粒同様、グルタミン酸、アスパラギン酸が多く含まれていた。