論文ID: 2503oa
就寝時の覚醒状態が入眠潜時に影響することは,精神生理学性不眠症の入眠困難などを代表例としてよく知られている。これまで,入眠前の覚醒期脳波から入眠潜時を予測できるかどうかは明確になっていない。本研究では,健常成人を対象に,睡眠ポリグラフ計測を行い,覚醒期の脳波指標により,睡眠段階1や睡眠段階2の潜時を重回帰分析を用いて予測した。その結果,覚醒期のゆらぎ指標であるスケーリング指数から睡眠段階2潜時までを予測する有意な回帰モデルが得られた。これによって,入眠期の脳波変化における時間的な関連性を示すと共に,予測がもたらす応用可能性を示した。