生理心理学と精神生理学
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視覚誘発電位二元過程モデルの動的シミュレーション
吉田 茂
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1994 年 12 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

オン・オフ, パルス, ダブル, トレインの各光刺激パターンに対する視覚誘発電位 (VEP) の二元過程モデル (例えば, 吉田, 1990a) のコンピュータ・シミュレーションを行った.シミュレーション・プログラムは, パーソナルコンピュータ上で稼働するシミュレータ (Extend v 1. 1) を用いて, 動的システムとしてプログラミングした.新しいパラメータとして明順応によって変化する刺激価を導入した.これが動的システムでは順応過程が重要な働きをする.VEPの後期律動波を発生させるためにオン・オフ・システムの相互トリガー機構を仮定した.単純化するために刺激条件を限定し, 刺激の大きさを直径5°, コントラストを比率3.5の高いもののみにした.基本的なパラメータは先のVEP研究で推定したものと同じものを用いた.順応の時定数と後期律動波の振幅は経験的に決定した.モデル波形は各刺激パターンの条件に対するVEPの基本的な特徴を示した.このVEPの動的シミュレーションは, 視覚系の構造を計算論的に表現する方法として有効なものと考えられる.

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© 日本生理心理学会
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