生理心理学と精神生理学
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事象関連脳電位を用いた顔の意味情報処理過程の検討
小西 賢三
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1997 年 15 巻 1 号 p. 1-10

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抄録
16名の被験者に, 刺激問間隔 (SOA) 1300-1700msでTVモニター上に提示される男女の顔写真を見せ, 事象関連電位 (ERPs) を記録した.高親近性の顔として被験者のよく知っている「大学院生」, 「学部生」を, 低親近性の顔として「政治家」, 「TVタレント」のものを用いた.一次元選択課題では, 被験者は男性あるいは女性の写真に対してボタソ押し反応を行ない, 二次元選択課題では, 性別に加えて, ある所属特性をもった人物 (例えば, 男性の政治家) が標的となった.反応時間は一次元選択課題が二次元選択課題より速く, 所属特性弁別に多くの時間がかかったことを示した.N190, P240そしてN320の3ERP成分が, 課題にかかわらず全ての刺激に対して観察された.これに対して, N410成分が二次元選択課題の標的および標的と同性の刺激に対して出現し, 親近性の影響を受けた.これらの成分の時系列的特徴が顔認知モデルとの関連において解釈され, 特にN410と, 顔の意味情報へのアクセスあるいは意味特徴決定との関係が論議された.
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© 日本生理心理学会
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