収縮時相値 (STIs) は, 心臓血管系心理生理学において, ストレス刺激と心臓交感神経活性化とのかかわりに関する研究を可能とさせるが故に, 興味を引いてきた.本評論では, 3種類の典型的なSTIsの利用可能性が, 再評価された.すなわち, 前駆出期 (PEP), 左心室駆出時間 (LVET), および, 電気機械的遅延 (EMS), である・第1に, STIsが定義され, 次いで, 心音図 (旧技法) ないしインピーダンス・カージオグラム (新技法) を用いた, 計測技法が議論された.第2に, 心臓交感活動としてのSTIsの妥当性が問題とされた.第3に, STIsに関する最近の心理生理学的知見が吟味された.とくに, PEPを用いた研究に関し, また, STIsを心臓交感活動と見なす際に生じかねない干渉要因 (前負荷および後負荷) に対し, 注意が向けられた.
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