生理心理学と精神生理学
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読書課題遂行時の心臓血管系反応に及ぼす音読・黙読, 読書ペース, Type A行動パターンおよび嗜好の効果
小川 栄一
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2001 年 19 巻 1 号 p. 25-31

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抄録
本論は心臓血管系反応と音読, 読書速度, 嗜好およびType A行動パターンとの関連に関する研究である.本研究ではType A群15名 (平均205歳) B群16名 (平均21.5歳) の被験者を対象として, (1) 黙読・自己ペース (2) 黙読・強制ペース (3) 音読・自己ペース (4) 音読・強制ペース条件を設定, 検討した.被験者は好きな読書課題と嫌いな読書課題の両方を選択した.収縮期血圧 (SBP), 拡張期血圧 (DBP) および心拍 (HR) がJENTOW-7700によって非侵襲的に5sごとに計測された.結果は以下の通りであった.音読時のSBPとHRは黙読時よりも有意に上昇した.強制ペース条件は自己ペース条件よりもSBPとDBPにおいて有意に大きな反応を示した.また, Type A被験者は音読時に, 好きな読書課題よりも嫌いな読書課題を読んだときにHRが有意に上昇した.対照的に, Type B被験者は黙読時に好きな読書課題よりも嫌いな読書課題を読んだときにHRが有意に上昇した.これらの結果は, 心臓血管系における身体的および心理的ストレス反応に関する先行研究に基づいて考察された.
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© 日本生理心理学会
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