抄録
本稿では, 動物 (特にラット) の時間知覚におけるコリン (ACh) 系とドーパミン (DA) 系の役割について検討した最近の研究を概観する.時間知覚の基盤として, 内的時計・参照記憶・反応決定の3つの機能からなる情報処理モデルが提案され, これらの機能にどの神経伝達物質系が関与しているのかも明らかになってきた.例えばMeckらの多くの研究は, ACh系は記憶部に, DA系 (特にD2サブタイプ) は時計部に作用することを示唆してきた.しかし後の研究では, ACh系の抑制が情報処理モデルで仮定されている閾値の上昇を引き起こすという結果や, D2サブタイプが時計機能を特異的に担っているわけではないことを示す結果も報告されている.これらの研究を紹介した後に, 今後の研究が考慮すべきいくつかの点について指摘する.