生理心理学と精神生理学
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AD/HD症状の程度で異なる健常成人の行動抑制時における神経活動
澤木 梨沙寺尾 敦室橋 春光宮本 環
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2005 年 23 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

本研究では, No-go試行に先行するGo試行の連続回数により操作した異なる認知的文脈において, 低・高AD/HD症状群問の行動抑制時における脳活動を比較した.認知的文脈の違いに関わらず, 高AD/HD症状群における尾状核の活動の低さが示された.先行するGo試行の連続回数が少ないときにのみ高AD/HD症状群における前頭前野の活動の低さが示され, 先行するGo試行の連続回数が多いときにのみ前部帯状回の活動の低さと前補足運動野の活動の高さが示された.これらのことから, AD/HD症状の程度により行動抑制に関わるいくつかの認知処理に違いがあること, そして, それぞれの違いは異なる認知的文脈において顕在化することが示唆された.

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© 日本生理心理学会
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