児童の性役割選択に関する発達的研究
ジャーナル
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1959 年
30 巻
4 号
p. 273-277
詳細
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発行日: 1959 年
受付日: 1959/06/01
J-STAGE公開日: 2010/07/16
受理日: -
早期公開日: -
改訂日: -
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訂正情報
訂正日: 2010/07/16
訂正理由: -
訂正箇所: 論文抄録
訂正内容: 訂正前 : 性役割発達に見られる男女差を考察することを目的とし, 那覇市城西幼稚園・小学校男児301名, 女児318名, 年令範囲5才2カ月-11才10カ月, に「幼児・児童用M-F尺度」が実施された. Brownの“It scale for children”の原理にもとづいて, 30枚の図版でこの「M-F尺度」は構成されている. 各図版には「男性的」「女性的」役割に関連づけられている玩具, 活動, 道具等が画かれている. 性別に関しては比較的不明瞭な赤ちゃんの絵が併用され, 被験者はこの赤ちゃんのために選択するよう要求された.
主な結果は次の通りである.
1. 各学年の男女間に認められる平均値差はすべて有意であり, 男児群は一般に非常に男性的極に片寄り, 女児群は一般に非常に女性的極に片寄って分布している.
2. 男児群の平均値は年令の増大とともにより男性傾向化を示しているが, 女児群は1年次のみ幼稚園児より女性傾向化を示すが, 以後平均値は男性的極の方に移動する.
3. 幼稚園女児は男児よりも選択の変異性は小であり同質的であるが, 4・5年では逆に男児の方が同質的である. 男児は年令の増大とともに選択の変異性は小となるが, 女児群は1年以後ほぼ変異性は一定している.
4. 幼稚園女児は男児より適正役割選択にすぐれているようである. 沖繩の女児は女性役割同一化にも選択にも困難をあまり感じないようである.
5. 男児は1年で74%のものが適正役割選択を見せ, 以後ほぼ一定の割合でこの傾向が見られる. 4・5年の女児は, 3年以下の女児群より, 適正役割選択の割合に減少を見せ, 異性役割選択も多くなり, このことはこれらの学年の女児は同学年の男児, 3年以下の女児に比して, 適正役割選択に困難を感ずるようである, ということを暗示する.
以上の結果に対する考察は, 性役割発達に見られる性差を規定する文化的・心理的要因, 幼児期の性役割学習と成人期における適応, 等の面よりなされた.
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