移行学習に関する最近の研究
ジャーナル
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1962 年
33 巻
2 号
p. 101-115
詳細
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発行日: 1962 年
受付日: -
J-STAGE公開日: 2010/07/16
受理日: -
早期公開日: -
改訂日: -
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訂正情報
訂正日: 2010/07/16
訂正理由: -
訂正箇所: 論文抄録
訂正内容: 訂正前 : 移行学習に関する最近の研究を次の四つの点から概観した. (1) 先行学習の訓練量が移行学習におよぼす効果については人間やねずみ, ひよこ, 魚などを用いた多くの実験がある. 人間を含めて哺乳類を被験体としたときには, 先行学習を過剰訓練すればそうでないときよりも移行学習が容易になるという点でほとんどの結果が一致している. それを説明するのにいくつかの仮説が提出されているが, それらは一応獲得説と消去説に大別できる. より下等な動物のときは, 上とは逆に過剰訓練が移行学習に対して妨害的効果をもつことが示されており, それ故系統発生的な相違が予想できる. 先行訓練量をこまかく変えると, それと移行学習の早さとの間に∩型の関係が示されており, その説明には発生時点を異にする二つの要因が仮定されている. (2) 同じ次元内での逆転移行と異なる次元への非逆転移行を比較したとき, 成人を対象としたほとんどの研究が逆転移行の有利なことを示している. これを説明するのに部分強化説と媒介説が対立的であり, 部分強化率を変えたり, それをまったく除くような工夫をして各々その説を確かめている. また幼児では二つの移行の早さに差がなく, 乳児や動物では非逆転移行の方が有利であることが二, 三の実験で示されているので, 二つの移行の有利性に関して発生的または発達的な推移が予想できる. 最近では部分強化説と媒介説の論争よりも, そのような有利性の推移を確かめて理論づけることに関心が向いている. (3) 移行学習と消去の関係については, これまで直線走路で行なわれてきた消去に関する諸問題を, 選択事態である移行学習において検討したことが特色であり, 伝統的な消去の手続と移行学習とが類似の結果を生ずることが示されている. そこでは消去すなわち逆転学習の早さということが根本的な仮定となっているが, この点には問題が残されている. (4) 動因が移行学習におよぼす影響に関する研究はSpenceの動因説から出発しているものが多い. 現在のところ動物実験においては一定の結論が出ていないが, この問題は理論的にもかなり興味あるものであろう.
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