2023 年 24 巻 1 号 p. 33-42
本研究の目的は,6か月以上母乳育児を継続した母親が感じた母乳育児の心地よさの体験を明らかにすることである.
6か月以上母乳育児を継続した母親は,【おっぱいを吸い飲んでくれる赤ちゃんからもたらされる気持ちの安らぎ】,【母児で触れ合えリラックスできる授乳時間】,【順調さの自覚で得られる母乳育児の楽しさや喜び】,【経済的で手間のない母乳育児の楽さ】,【長く続けることで感じる母乳育児に対する愛しさ】という心地よさを感じていた.経産婦の場合は,【上の子の経験に基づく母乳育児に対する不安の緩和】を感じていた.母乳育児が上手くいかない場合でも,【ミルク選択で得た母乳にこだわる辛さからの解放感】により心身の辛さが緩和されていた.また,【助産師・母親同士・家族からの共感的サポートがもたらす不安の緩和】にも心地よさを感じていた.サポートを得ながら,母乳育児を継続することで母乳育児に心地よさが感じられることが示唆された.