蘇生
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「循環モニタリングを活用した輸液管理」~SVVとEVLWを組み合わせた呼吸循環管理~
渡部 広明
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2013 年 32 巻 1 号 p. 29-35

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抄録
 集中治療管理を行う上で前負荷の正確な評価は極めて重要であると同時に難しい。近年,輸液管理においては,これまでの静的指標に対して呼吸性変動に伴う動的指標の信頼度が注目を集めており,輸液反応性の指標としての有用性が多数報告されている。動的指標であるSVV (stroke volume variation)は輸液反応性の優れた指標であり,これを用いた循環管理は過剰輸液を防止し最適な循環管理を行うことができる。一方,敗血症など重篤な基礎疾患の治療中に発生したARDS(Acute respiratory distress syndrome)治療はしばしば難渋する。近年,ARDSの治療において肺血管外水分量Extravascular lung water (EVLW)の測定が予後の改善に寄与する可能性が示されており,これを指標とした輸液管理を行うことで呼吸循環動態を改善しうる可能性が示唆されている。本論文では上記のSVVとEVLWの両者を用いた重症呼吸不全患者における目標指向型輸液療法の可能性について解説する。
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© 2013 日本蘇生学会
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