抄録
冠血流の臨床的評価をする場合には, 特徴的な冠血流パターンの他, 冠血流量が影響を受けやすい壁張力などの因子や, 心臓の微小循環などについての基礎的な生理機能を正しく理解することが重要であることを強調するとともに, われわれの熱希釈法を用いた基礎実験, すなわち, 冠静脈側から左前下行動脈 (LAD) 域とされる大心静脈流出量と, LADと左回旋枝域を含む冠静脈洞流出量を区別して測定できる妥当性と, その臨床応用結果につき報告した。また冠血管内視鏡を用いた急性心筋梗塞や不安定狭心症, 冠攣縮性狭心症, および高脂血症の冠動脈の可視病変と, 上腕動脈の血管反応である程度冠血管内皮機能を評価できる妥当性や, 冠血管の主な弛緩因子についても概説した。