頭部外傷に伴う二次的損傷としての低酸素の海馬に及ぼす影響を明らかにするために, ラット閉鎖性頭部外傷 (脳振盪) モデルを用いて, 興奮性および抑制性アミノ酸の役割を中心に, われわれの研究結果と最近の知見を概説した。特に, 軽症頭部外傷でも低酸素が二次的に負荷されると, 海馬CA3領域に限局して選択的脆弱性が認められることを指摘した。この発生機序として, 海馬における興奮性アミノ酸グルタミン酸の高度かつ長時間の増加と抑制性アミノ酸GABAとの不均衡さらにはそれら受容体の不均衡も関与している可能性を示した。