2006 年 25 巻 2 号 p. 110-113
重症熱中症である熱射病は, 緊急性が極めて高く初期治療が生命予後に大きく関与する。今回, 経過と予後に大きな違いがみられた2症例を経験した。1例は18歳男性の労作性熱射病であった。早期にDIC, 横紋筋融解症, 肝機能障害を生じ, 後遺症として小脳症状, 構音障害が残った。もう1例は16歳男性で野球部の部活動中の労作性熱射病であった。現場で全身冷却が直ぐに開始されていた。来院時は, 横紋筋融解症, 肝機能障害がみられたが, 短時間で軽快し後遺症を残さず治癒できた。この2例の熱射病は条件が異なるため比較はできないが, 可能な限り早急に冷却と輸液を開始することが必要である。