2007 年 26 巻 1 号 p. 18-21
急性重症膵炎の経過中, 腹部コンパートメント症候群と考えられる病態を呈した症例を経験した。この症例は来院時すでに発症後3日以上経過しており, ICU入室後, 蛋白分解酵素と抗生物質の動注療法およびCHDFを開始した。腹部緊満が著明で, 腹腔内圧として膀胱内圧を測定したところ15-20mmHgと上昇, 腹部コンパートメント症候群を認めた。CHDFによる水分管理などで対処したが, 十分に膀胱圧を減少させることはできなかった。その後多臓器不全が進行し, 第24病日に永眠された。本症例は治療開始が遅く, 肝機能も来院時すでに悪化していた。それに加え腹腔内圧の上昇も多臓器不全の進行に関与したと考えられた。