日本鼻科学会会誌
Online ISSN : 1883-7077
Print ISSN : 0910-9153
ISSN-L : 0910-9153
原著
鼻腔病変を認めたIgG4関連疾患の2例
大塚 雄一郎花澤 豊行岡本 美孝
著者情報
キーワード: IgG4, IgG4関連疾患, 鼻炎, 鼻粘膜
ジャーナル フリー

2014 年 53 巻 2 号 p. 85-91

詳細
抄録

IgG4関連疾患は全身性の慢性炎症性疾患であり,IgG4陽性形質細胞の浸潤と高度の線維化が組織学的な特徴である。全身の複数の臓器が障害され,自己免疫性膵炎,後腹膜線維症,Mikulicz’s 病,Küttner腫瘍やそのほか多数の疾患が知られている。近年鼻副鼻腔におけるIgG4関連疾患が報告されている。我々は鼻腔に病変を来した2例のIgG4関連疾患について報告する。症例1,56歳男性,Mikulicz’s病で加療中に鼻閉と鼻出血を訴えた。鼻粘膜は痂皮で覆われ易出血性であった。病理組織学的検査では鼻粘膜にIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた。血清のIgG4は最高で2,500mg/dlであった。症例2,76歳男性。Küttner腫瘍で加療中に鼻閉と鼻出血を訴えた。鼻粘膜は痂皮で覆われ易出血性で,小さなポリープを認めた。血清のIgG4は最高で1,260mg/dlであった。2症例とも点鼻の副腎皮質ステロイド薬(以下ステロイド薬)は効果がなく,経口ステロイド薬で唾液腺腫脹,涙腺腫脹,口渇とともに鼻症状も改善した。易出血性の鼻粘膜に痂皮が付着するような,通常とは異なる所見を示す鼻炎ではIgG4関連疾患も鑑別疾患に入れる必要があると考えられた。

著者関連情報
© 2014 日本鼻科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top