日本農村医学会雑誌
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原著
一般外科病棟での胃癌術後終末期における緩和ケアの検討
林 達彦浅見 冬樹畠山 悟村山 裕一清水 春夫
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2004 年 52 巻 5 号 p. 817-822

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抄録

〔目的〕 一般外科病棟での胃癌切除後終末期症例における鎮痛, 鎮静の現状と緩和ケアの問題点を検討した。
〔対象と方法〕 胃癌切除後終末期として入院し, 死亡退院された59例を対象に, 緩和療法の鎮痛剤の種類, 投与方法, 投与量, また鎮静の施行の有無とその理由や内容について検討した。
〔結果〕 非治癒因子あるいは再発因子確認から入院までの外来治療期間は0∼682日 (平均 ; 195.3日), 入院期間は1∼117日 (平均 ; 32.1日) であった。全例に非ステロイド性抗炎症薬が使用されていた。モルヒネ製剤使用は50例 (84.7%) であった。全例にほぼ十分な鎮痛効果が認められ, 重篤な副作用は認めなかった。33例 (55.9%) の症例で鎮静を行ったが, 28例が高度の全身倦怠感, 17例が不穏状態のためであった。
〔結語〕 非ステロイド性抗炎症薬とモルヒネ製剤にて安全で, 十分な鎮痛が得られると考えられた。しかし, 約半数の症例で鎮静が必要であった。

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© 2004 一般社団法人 日本農村医学会
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