2004 年 53 巻 2 号 p. 156-160
腹部超音波検査が発見の端緒となり, その除去に消化管内視鏡が有用であった完全型胆道内回虫迷入症の1例を経験した。症例は41歳, 女性で, 無農薬野菜の嗜好があった。上腹部痛の訴えで腹部超音波検査施行し, 胆道内回虫迷入症が疑われた。内視鏡的逆行性胆管造影検査にて胆管内に1本の索状影を認め, 同疾患と診断した。そして砕石用のバスケット鉗子を用いて虫体を把持し, 経乳頭的に摘出した。その後, 駆虫剤としてパモ酸ピランテルを内服した。胆道内回虫迷入症の診断には, まず腹部超音波検査が有用であり, 治療においては内視鏡的逆行性胆管造影を行い, 引き続いて虫体摘出のためにバスケット鉗子が有用であった。