2005 年 54 巻 4 号 p. 655-660
乳癌化学療法施行患者と未施行患者とを比較しその総合的健康状態を把握することを目的としQOL評価を行なった。2004年6月から8月に当科で乳癌化学療法施行(以下化療群)および外来経過観察(非化療群)の患者16名にアンケート方式で調査した。調査票はFunctional Assessment of Cancer Therapy Scale General(FACT-G)を改良したものでMann-Whitney検定を行なった。化療群は8名,非化療群は8名であった。化学療法の内訳はエピルビシン+シクロフォスファミド(EC)療法6名,ドキソルビシン+ドセタキセル(AT)療法1名,シクロフォスファミド+メトトレキセート+フルオロウラシル(CMF)療法1名であった。身体症状および精神的状態では,化療群が有意に悩んでいた(p<0.05)。社会的および家族との関係では両群間に差はなかった。活動状況では非化療群が有意に活動的であった(p<0.05)。特に治療の副作用,自分を病気と感じること,死ぬことや病気の悪化の心配などにおいて化療群は有意に敏感であった(p<0.05)。非化療群では有意に生活を楽しみ良好なQOLを得ていた(p<0.05)。
乳癌化学療法施行において,一過性であっても身体症状および精神的状態のQOLが不良であった。今後はこうした点でのサポートも重要であると考えられた。