日本農村医学会雑誌
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原著
医療材料の購買に関する意識調査について
野村 賢一岩瀬 定利斎竹 達郎浅野 吉徳山本 卯
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2006 年 55 巻 2 号 p. 76-87

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抄録

 医療現場において医療材料の購買プロセスはどうあればよいのか。全国厚生連病院を対象に,医療材料の購買業務の実態を把握するためアンケート調査を試みた。アンケート調査は,全国厚生連病院のうち100床以上の病院を対象に実施,調査依頼数97件,回答数53件であった。アンケート調査より,評価項目として十分できているものは,購入予算計画の実施79%,除去資産の確認89%,必要性の明確化96%,収益性・生産性についての試算98%,採用後の使用満足度調査76%,廉価品の提供91%,安全性に関しての配慮96%,共同購入のスケールメリットによる仕入値の低下61%であった。一方,不十分と考えられるものは,納品業者の事業概要・納入実績等による書類審査34%,医療材料に関する購買担当者の知識見識不足55%,医師異動後の不動在庫への対応41%,製品購入による効率性の時間的検討59%,廃棄物としての処理費用46%,共同購入による業務の省力化59%であった。全体として購入委員会を設けている病院は多方面から製品選定を図っていることが伺われた。しかし,事務局の医療材料に関する知識見識については十分とはいえなかった。従って,購入委員会参加者との合議が大切となる。この場合,資料として検討内容を視覚的・客観的に捉えられるチャート図を作成することにより,選定基準の明確化が図られ,優れた購買を可能にすることが考えられた。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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