日本農村医学会雑誌
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原著
大腸がん検診における注腸X線造影法
小池 晃小林 明
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2006 年 55 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

 大腸がん検診の二次検査に多くの施設では,全大腸内視鏡検査が実施されているが,私どもは注腸X線造影法を過去6年間用いて実施しており,その結果を比較報告する。
 注腸X線造影法は精密検査受診率が内視鏡検査より極めて高く,放射線技師でも技術を磨くことで,医師にも勝るとも劣らないパワーを発揮することができるため,多数の地域住民検診希望者の需要に応じることが可能であった。また大腸がんの発見率が内視鏡検査に比べて落ちるのではないかという心配は,大腸がん発見率が新潟県平均よりはやや劣るが全国平均よりは高いこと,早期がんの割合が新潟県・全国と同程度の割合で検出されていることにより,また小さながんが見逃されるのではないかという心配は,種々の体位での撮影とガン好発部位の2回以上の撮影により払拭されている。
 なお,私どもは注腸X線検査を精密検査,内視鏡検査をさらなる確定検査の手段と考えており,胃がん検診の直接X線撮影と同様に位置付けている。従って注腸X線造影法ではっきりとした所見が見いだされなくとも,痔などの出血源が見当たらない症例には積極的に内視鏡検査を奨めることにしている。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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