日本農村医学会雑誌
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報告
似顔絵セラピーによる気分の変化
──新人看護師及び緩和ケア病棟における調査から──
川出 英行山本 直人大橋 洋平日比野 美紀
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2011 年 60 巻 4 号 p. 535-542

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抄録

 村岡ケンイチ氏が2006年に考案,開始した似顔絵セラピーが,気分・情動状態にどのような変化をもたらすのか,POMS (Profile of Mood States) を用いて検討した。対象は新人看護師46名 (男性1名,女性45名,平均年齢23.09) 及び,緩和ケア病棟に入院中の患者1名 (80代男性) とセラピーに同席した家族1名 (60代女性),病棟看護師3名 (男性1名,女性2名,平均年齢38.67),実習中の学生3名 (女性3名,平均年齢21.67),その他スタッフ3名 (男性3名,平均年齢40.67) であった。方法は似顔絵セラピーを行ない,その前後にPOMSを実施し,セラピー前後のPOMS得点の変化を検証した。新人看護師ではPOMSの6下位尺度全てにおいて,有意に気分が改善することが認められた。緩和ケア病棟においても概ね,気分の改善がみられたが,看護師には改善がみられなかった。似顔絵セラピーは受け手の気分を改善する効果があり,その場を共有する人にも立場に応じて気分の改善効果があると考えられた。似顔絵セラピーの病棟での実施には配慮が必要と考えられるが,心のケアの選択肢であるとともに,グリーフケアとしても意味をなす可能性を持っていると考えられる。今後,より効果的な似顔絵セラピーの活用について事例研究,数量的研究によって検討を重ねていきたい。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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