2013 年 61 巻 4 号 p. 602-610
〔目的〕当院の心筋梗塞 (MI) 患者を対象とした回復期心臓リハビリテーション (心リハ) におけるレジスタンストレーニング (RT) 導入の効果を検証すること。
〔対象〕入院による急性期心リハを終了したMI患者86例のうち,外来通院による回復期心リハを少なくとも発症後3か月以上継続できた22例 (平均年齢63.0±10.9歳;男性20例,女性2例)。
〔方法〕従来の運動療法プログラムを実施した対照群8例と,筋力増強運動の内容を一部変更・追加したRT群14例の運動耐容能の経時的変化について,診療録をもとに後方視的に調査した。運動耐容能の指標として,目標心拍数を用いた同一心拍数に対する自転車エルゴメータ負荷量 (watt) の経時的変化を調査した。
〔結果〕発症後1か月時点の目標心拍数および負荷量は両群間に有意差を認めず,発症後1・3・5か月の経時的変化において,RT群では目標心拍数に変化を認めず負荷量のみに有意な増加を認めた。対照群では負荷量,目標心拍数ともに変化を認めなかった。また,両群間の3・5か月時点のそれぞれの負荷量の比較ではRT群が有意な高値を示した。
〔結論〕RTの導入は,当院の回復期心リハに参加するMI患者の運動耐容能の改善に有用であることが示された。