日本農村医学会雑誌
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症例報告
帝王切開術後1か月で子宮仮性動脈瘤破裂をきたし子宮動脈塞栓術 (Uterine Artery Embolization; UAE) で止血しえた1例
小島 学中村 聡一加藤 謙一山内 隆治
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2013 年 62 巻 2 号 p. 135-139

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抄録
子宮仮性動脈瘤は,頻度はまれではあるが,破裂した場合には大量出血をきたして生命の危険に及ぶこともある重要な疾患である。近年,同様の報告例では子宮動脈塞栓術が治療法として選択されることが多く,良好な成果をあげている。今回我々は,帝王切開術後1か月で子宮仮性動脈瘤破裂による大量性器出血をきたし,子宮動脈塞栓術で止血しえた1例を経験したので報告する。症例は32歳の帝王切開後の褥婦で,産後1か月で大量性器出血をきたし,ショック・DICとなった。超音波カラードプラにて左子宮動脈血流域に異常血流があり,血管造影検査にて子宮動脈瘤を認め,動脈瘤の破裂と診断した。同部位の塞栓術により以後の出血は治まり,子宮を温存できた。子宮仮性動脈瘤は,帝王切開や子宮内膜掻爬術などの子宮動脈を損傷しうる操作により形成され,破裂すると大出血をきたす。こうした操作の後に生じた異常出血では,本疾患を念頭において診察を行なうことが重要である。
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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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