抄録
われわれは1歳5ヵ月の女児で腹部腫瘤を主訴として来院し, 術中所見と術険の病理組織学的検討から, 初めてこの腫瘤が後腹膜腔の分画肺とこれに癒着した胃重複症であることが判明した極めて稀な1例を経験した. MRI で両者はあたかも1つの円形腫瘤のように描出されたが, 腫瘤の上下で intensity が全く異なっていたので術前診断に至らなかったが, MRI を retrospective にみると腹部大動脈からの分画肺への異常血管と考えられる所見が認められた. 自験例は極めて稀ではあるが, 後腹膜腫瘍の鑑別診断の際に考慮しなければならない疾患の1つと考えられた.