抄録
Zuggurtung法後の理学療法では, 骨癒合を高める膝関節自動屈曲運動は早期から可能となる一方, 膝関節自動伸展運動は骨折部を離開させる方向へのストレスとなり注意が必要である。Zuggurtung法が導入されて以来, 膝蓋骨骨折の治療成績は向上しているが, 骨折型によっては実施できないこともあり, その場合理学療法時のリスクはZuggurtung法後のそれとは勿論異なる。今回,Zuggurtung法を実施できなかった膝蓋骨遠位骨折の2症例を経験した。リスクを明確にし, Knee Brace固定中から積極的に膝蓋骨上方支持組織の柔軟性および滑走性を維持した結果, Zuggurtung法を実施した膝蓋骨骨折例とほぼ同様の治療成績を得ることができた。膝蓋骨骨折に対して行われた観血的整復固定術の内容や特性からリスクを理解し, 理学療法を進めることが重要であった。