日本農村医学会雑誌
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介護関係者を対象にしたアンガーマネジメントワークショップの開催
平川 仁尚
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2014 年 63 巻 2 号 p. 151-153

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抄録

 介護関係者の抱えるストレスは,介護関係者自身の健康状態を悪化させるだけでなく,業務遂行能力を落とし,要介護高齢者のクオリティー・オブ・ライフにも悪影響を及ぼすため,介護関係者のメンタルヘルス対策は喫緊の課題である1)。そこで,「アンガーコントロールトレーニング2)」を参考にして,怒りのセルフコントロール能力の獲得を目的としたワークショップを介護関係者向けに実施したので報告する。参加者は13名で,平均年齢は43.6歳であった。ワークショップは,4つのメインセッションである「自由討論~怒りとは」,「思考のゆがみ」,「10のよくある不合理な信念」,「怒りの分析」で構成された。メインセッションの前に参加者自身が普段行なっているストレス発散法を紹介しつつ自己紹介を行なった。「自由討論~怒りとは」では,ワールドカフェ形式で参加者に自由討論を行なってもらった。「思考のゆがみ」では,思考のゆがみ,つまり出来事についての思考の道筋が過去の体験によって形成された不合理な信念によって,ネガティブな感情が作り出され,あるいは増強させられることを説明し,前述のガイド2)に掲載されている例文の一部をアレンジしたものを題材に代表的な思考のゆがみについて考えてもらった。「10のよくある不合理な信念」では,「私はすべての人から好かれ,認められなければならない。」など怒りを引き起こしやすい不合理な信念(思い込み)のうち,参加者一人ひとりに自分に当てはまる信念を挙げてもらい,それぞれ合理的な他の信念に書き換えてもらった。「怒りの分析」では,参加者一人ひとりに印象に残っている怒りに打ち震えた場面を振り返ってもらい,ロールプレイを行なってもらった。今回のワークショップにおける参加者の学びを明らかにするために,KJ法を用いてアンケート内容を質的に検討した結果を示す(図1)。参加者は,怒ることには何の意味もないこと,怒りは些細なことから生じておりコントロール可能なこと,人によって様々な考え方や怒りがあること,過去の経験や他人の言動が自分の考え方に強い影響を与えていること,怒りは分析可能なこと,などを学んでいた。その学びを受けて,明日からワークショップの成果を現場などで活用していこうと前向きな態度になっていた。ただし,ストレスをマネジメントするのではなく,「ガス抜き」することが必要だという意見もみられた。  以上のように,今回のアンガーマネジメントワークショップは参加者によい効果を与えたと考えられた。

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© 2014 一般社団法人 日本農村医学会
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