日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
症例報告
高齢者に発症した腸腰筋膿瘍による敗血症の1例
前田 剛志露木 琢司大見 関
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 63 巻 4 号 p. 653-658

詳細
抄録
 症例は84歳男性。20XX年7月1日頃から歩行障害が出現し, 7月3日より背部痛, 発汗の主訴で救急搬送された。来院時の血液検査では急性期DIC基準を満たし, 下肢超音波では深部静脈血栓を認め, また, 造影CTでは腸腰筋膿瘍, 大動脈周囲炎を認めたため, DIC, 多臓器不全, 敗血症性ショック, 深部静脈血栓症と診断した。治療は抗菌薬治療, 免疫グロブリン製剤, DOA, ヘパリンによる抗凝固療法を行なった。徐々に炎症反応は低下したが発熱は継続し, 4週間後の造影CTでは膿瘍が全身に多発し, 第34病日に永眠された。本症例は, 市中発症にもかかわらずMRSAが分離され, MRSAがもはや一般菌であることを示唆する貴重な症例であった。また, 腸腰筋膿瘍の治療における基本はドレナージであるが, 本症例は膿瘍径が小さく治療的ドレナージは適応外であった。治療経過中に発熱が継続しており, 起因菌同定目的の診断的ドレナージは必要であったと考えられる。
著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top