2015 年 63 巻 5 号 p. 772-779
迅速な医療連携により救命した, 2例の静脈血栓塞栓症を経験した。症例1は呼吸困難を主訴として救急搬送された70代女性である。心電図検査 (ECG) でSIQⅢTⅢパターンであったことから急性肺性心が疑われ入院となった。超音波検査 (US) により血栓を伴う膝窩静脈性血管瘤の血栓遊離による肺血栓塞栓症 (PTE) と診断した。症例2は下肢疼痛及び腫脹を主訴として当院に紹介された60代男性である。USにより大腿動脈瘤及び深部静脈血栓症 (DVT) を指摘され入院となる。2症例とも早期のUSによりDVTが明らかとなり, CT検査でPTEと診断, 適切な処置により救命し得た症例であった。早期のUSは診断や血管の形態評価に極めて有用であった。