日本農村医学会雑誌
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原著
がん患者のせん妄における,ハロペリドール注使用によるアカシジアの発現割合とビペリデン注の有効性
李 振雨小林 頼子中村 和行黒田 宏美
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2016 年 64 巻 5 号 p. 808-814

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抄録

 がん患者のせん妄に対してハロペリドール (以下HP) 注を使用すると, アカシジアに遭遇し, その対策を必要とすることがある。そこでHP注を使用した際のアカシジアの発現割合とそれに対するビペリデン注の有効性を検証した。2012年8月から12月までの5か月間に緩和ケア病棟 (以下PCU) で死亡した患者100例の内せん妄のあった67例と一般病棟で緩和ケアチーム (以下PCT) が関わった間に死亡した患者23例の内せん妄のあった患者10例について, HP注の使用割合とそれを使用した際のアカシジアの発生割合, それに対するビペリデン注の有効性を後ろ向きに調査した。PCUでは67例のせん妄患者の内52例 (78%) にHP注が使用され, その内23例 (44%) にアカシジアが疑われた。その全例にビペリデン注が使用されたが, その内の21例 (91%) に有効だった。PCTでは10例のせん妄患者の内7例 (70%) にHP注が使用され, その内1例 (14%) にアカシジアが疑われたが, その際, HPが中止され, ビペリデンは使用されなかった。まとめると, PCUとPCTのせん妄患者合計77例の内59例 (76%) にHP注が使用され, その内の24例 (40%) にアカシジアが疑われた。その内23例 (すべてPCU) にビペリデン注が使用され, 21例 (91%) に有効だった。つまり,がん患者のせん妄に対してHPを使用すると40%にアカシジアの発現が疑われたが, それに対してビぺリデンを使用することはかなり有効だった。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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