日本農村医学会雑誌
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研究報告
ワルファリン療法におけるTTRの調査
田中 宏尚武野 俊也車塚 千穂井上 靖隆飛澤 国広今井 隆人渡辺 浩明
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キーワード: ワルファリン, PT-INR, TTR
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2016 年 64 巻 5 号 p. 827-832

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抄録

 経口の抗凝固薬であるワルファリンの治療効果は, プロトロンビン時間国際基準比 (prothrombin time-international normalized ratio; PT-INR) が至適範囲内にある期間 (time in therapeutic range; TTR) に依存するとされている。今回, 網走厚生病院においてワルファリン療法を行なっている患者を対象にTTR値の算出を行ない, またTTR≧60%を良好群, TTR‹60%を不良群として, TTR良好群・不良群と患者因子および平均投与間隔との関連性について検討を行なった。  対象患者は178名であり, 平均TTR値は65.1±24.8%, TTR良好群は112名, TTR不良群は66名であった。性別, CHADS2スコア別, 平均投与間隔別においては平均TTR値に有意差は認められず, TTR良好群・不良群でにおいても関連性は認められなかった。年齢においては, 70歳未満の平均TTR値が51.0±24.6%であるのに対し, 70歳以上の平均TTR値が72.7±21.4%と70歳以上で有意に平均TTR値が高い結果であった。また, TTR良好群・不良群との比較において関連性が認められ, 70歳以上のTTR良好群の人数が多い結果であった。日本人の至適PT-INRを検討したJ-RHYTHMRegistryの結果を参考にし, 再度, 70歳未満群においてPT-INRの至適範囲を2.0~3.0から1.6~2.6に変更しTTRを算出したところ, 70歳未満の平均TTR値は51.0%から74.9%に上昇した。この結果より, 当院においてはJ-RHYTHMRegistryの結果に則った治療をしていることが明らかとなった。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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