日本農村医学会雑誌
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研究報告
「農村地域の食と生活と健康に関する意識調査」の解析結果
地方に住む人々の食・健康と地産地消・農業実践希望との関連
早川 富博杉浦 正士小林 真哉鈴木 祥子岩崎 二郎羽田 明
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2016 年 64 巻 5 号 p. 833-846

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抄録

 日本農村医学会の特別研究プロジェクト「農村の食と健康に関する研究」として, 本学会に属する医療機関で健診を受けられた住民を中心に「食と生活と健康に関するアンケート」を施行した。  対象数は5,397人 (男2,588人, 女2,809人), 平均年齢は男53.4歳, 女53.8歳, 80歳以上が3.2%あった。対象者は地方都市とその周辺, 中高年が多く, 農業経験者が半数以上を占めていた。  「健康感」は全体で80%が肯定的であった。「運動不足」は全体の80%が感じていたが, 加齢によって減少した。逆に「運動習慣」は増えて, 70歳代以上では6割に達していた。  「食の豊かさ」,「満足度」を多くの人が感じていたが,「食の不安」(安全性, 食生活, 食の供給に対する強い不安) が多かった。「食べる食材」に関しては, 毎日食べるものとして, 米, 野菜, 乳製品が上位を占め, 高齢になるに従って肉類が減少していた。加齢で頻度が増える食材は乳製品, 大豆類, 野菜類, 果物類, 魚類であった。  地産地消, 農業の実践に関する要因を検討した結果,「社会参加している」,「朝食を食べる」,「食の供給に対する不安」,「農協で食材を購入する」, などの項目が有意であった。  これらの結果から, 厚生連病院が存在する地方都市とその周辺では, 健康的な食と生活習慣を心がけている住民が多く, 社会参加や地産地消に積極的で将来の農業実践に意欲があることが示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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