日本農村医学会雑誌
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症例報告
多職種チーム医療により高度進行舌癌の動注化学放射線療法を行った1例
安井 昭夫北島 正一朗丸尾 尚伸水谷 晴美澤木 絵美溝口 真里子加藤 佑奈石川 眞一祖父江 正代宇根底 亜希子内藤 圭子仲田 勝樹重村 隼人松岡 真由野田 智子安藤 哲哉寺澤 実
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2016 年 65 巻 1 号 p. 83-92

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抄録

 近年,口腔癌の腫瘍栄養血管に対して浅側頭動脈経由で逆行性にカテーテルを留置する動注化学放射線療法が行なわれ,良好な治療成績が報告されている。症例は高度進行舌癌による疼痛のコントロール目的にて当院緩和ケア科に通院中の患者で,腫瘍増殖に伴う気道閉塞を回避するため,気管切開術以外の治療法の相談依頼にて,院内紹介により当科受診した。そこでわれわれは,浅側頭動脈経由で両側舌動脈カテーテル留置による動注化学放射線療法を提案した。治療後には,顕著な腫瘍縮小効果が得られたことにより,気道閉塞は回避され,さらに摂食嚥下・構音障害の改善が認められた。しかし,治療の過程においては様々な有害事象が出現したため,多職種に援助を求める必要が生じるようになった。結果的に本症例を通じて,がん治療過程における口腔ケアおよび緩和ケアチームの支援を含めた多職種チーム医療を確立することができた。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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