日本農村医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下に切除した小児膵充実性偽乳頭状腫瘍の2例
稲田 亘佑久留宮 康浩水野 敬輔世古口 英菅原 元井上 昌也加藤 健宏秋田 直宏南 貴之関本 晃裕緒方 諒仁長田 祥子若尾 聖
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2021 年 70 巻 2 号 p. 161-167

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抄録
 症例1は14歳,女児。運動時の呼吸苦を主訴に小児科を受診し,精査のためのCT検査で膵腫瘤を指摘され当科紹介となった。造影CT検査では,膵体部に境界明瞭な2.5×2cmの低吸収域を認め,MRI検査では同部位はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示していた。膵充実性偽乳頭状腫瘍(以下膵SPN)の診断で,腹腔鏡補助下脾温存膵体尾部切除術を施行した。経過良好で,術後13日目に退院した。
 症例2は15歳,女児。数日続く腹痛と発熱を主訴に近医を受診した。腹部超音波検査で腹腔内に嚢胞性病変を指摘され当院紹介となった。造影CT検査では,膵尾部に境界明瞭な4cm大の低吸収域を認めた。MRI検査では同部位はT1強調像で膵臓とほぼ等信号を,T2強調像で高信号を示していた。膵SPNの診断で,腹腔鏡下脾温存膵尾部切除術を施行した。経過良好で,術後8日目に退院した。
 膵SPNに対して,腹腔鏡下膵体尾部切除は良い適応であると考えらえた。
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© 2021 一般社団法人 日本農村医学会
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