抄録
カメムシによる皮膚障害例を13例(19か所)経験し,解析した結果,A)色素沈着型,B)咬刺型,C)誤食後ビラン・潰瘍型の3型に分類することができた。Aの色調やパターンについてダーモスコープを用いて検討した。
Aは不定型と均一・びまん型の2種に分類でき,均一型はしみだしを伴うものと表皮剥離欠損型のものが存在した。不定型は4例で,ハイハイ児の足底を除いて3例は手指,腕や背部に見られた。均一型6例は手指の1例を除くと全て足底であった。両者の差は虫体の圧迫度や圧迫時間の差によるものと考えられた。皮丘一致性の黄色,黄橙,褐色の色素斑が特徴で,受傷数日後には色素沈着の一部の表皮が剥離する例が2例に認められたが,時間経過による角層剥離によるものと考えられた。染み出しの強いタイプは虫と体の間に強い圧が加わったために生じたと思われた。
足底部にカメムシ成虫を8時間踏み潰し,色素沈着の消退を検討した結果,数日から1週間以内で自然消失した。なお,セロハン・テープで色素沈着部をストリッピングした結果,角層部の数層に色素が残存していることが明らかとなった。