日本農村医学会雑誌
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研究報告
後期高齢者の結腸・直腸がんに対するトリフルリジン・チピラシル塩酸塩療法の有害事象発現状況と治療継続状況に関する実態調査
吉池 麻衣宮田 智陽原 あや乃杉山 昌秀篠原 佳祐関口 展貴関戸 大司
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2021 年 70 巻 4 号 p. 360-365

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抄録

 結腸・直腸がん治療薬であるトリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合錠(ロンサーフ®配合錠:以下,FTD/TPIと略す)の用量制限毒性は好中球数減少であり,発熱性好中球減少症のリスクが高い高齢者では,慎重な投与が必要とされる。今回,結腸・直腸がんに対してFTD/TPIを投与された後期高齢者を対象とし,有害事象発現状況,減量,投与コース数の実態を後方視的に調査した。結果,8例中5例と高い割合でGrade 3以上の好中球数減少が発現していた。また,6例で減量が行なわれていたが,そのうちの5例では3コース以上治療継続が可能であった。後期高齢者においては,好中球数減少を含む有害事象の発現頻度及び重篤度は高くなると考えられ,適切な対策を講じることが重要であると考える。

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© 2021 一般社団法人 日本農村医学会
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