日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
症例報告
横行結腸の嵌頓・壊死を来した食道裂孔ヘルニアの1例
仲野 宏遠藤 英成松石 彬金澤 匡司
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 71 巻 4 号 p. 332-336

詳細
抄録
 症例は85歳女性。嘔気,腹痛を主訴に近医を受診し,症状が強く精査加療目的に当院へ搬送された。上腹部に強い圧痛があり,胸腹部CT検査で縦隔内に胃と横行結腸が脱出しており,複合型(Ⅳ型)食道裂孔ヘルニアと診断した。横行結腸に急峻な狭窄と壁の造影効果不良があり,ヘルニア嚢内,骨盤底に腹水を認めたため,絞扼による虚血,壊死を疑い緊急開腹手術を施行した。食道裂孔に嵌頓した胃と横行結腸を腹腔内に還納したところ,横行結腸は40cm長に渡り壊死しており,切除・吻合した。食道裂孔の縫縮を施行したのちに,逆流防止・噴門形成術としてToupet法も併施した。術後に逆流や通過障害は認めず術後63日目に退院した。現在外来通院中であるが食道裂孔ヘルニアの再発なく経過している。
 複合型食道裂孔ヘルニアで腸管壊死を来した症例は稀であり,文献的考察を加えて報告する。
著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top