抄録
症例は60歳男性。5年ほど前から間欠的な嗄声を自覚していた。1年前から嗄声の増悪を認めたため当科を紹介受診した。左声帯に広基性の腫瘤を認め,全身麻酔下に直達喉頭鏡を用いて摘出した。術後病理診断は粘液腫であった。粘液腫は軟部組織を起源とする良性腫瘍である。喉頭に発生する粘液腫は非常に稀であり,現在までに発表された症例は20例に満たない。良性腫瘍であるが,発生場所によっては高率な再発率が指摘されている。手術の際には取り残しのないよう注意が必要であるとともに術後2~3年程度の経過観察が必要な疾患である。