抄録
症例は83歳,男性。食道癌術後1年6か月,無再発で経過していたが,全身倦怠感があり,頻脈性心房細動による心不全のため入院となった。入院6日目の胸部単純X線で両側気胸と両側横隔膜下の遊離ガスを認め,CTで多量の腹腔内遊離ガスを認めた。腹部所見に乏しく,炎症反応の上昇も認めなかったことから,消化管穿孔は否定的であった。食道癌の手術歴があることから右自然気胸から流出したairが対側胸腔および腹腔内へ移行したと考え,右胸腔ドレーンを留置した。両肺の虚脱は改善し,腹腔内遊離ガスは消失したが,air leakageは持続し,自己血およびブドウ糖液による胸膜癒着術を行なったが改善しなかった。低心機能のため,手術は困難と判断し,OK-432を用いて胸膜癒着術を施行し気胸は改善した。食道癌術後の気胸に対して,OK-432を用いた胸膜癒着術の本邦報告例は検索した限りでは認めず,文献的考察を加えて報告する。