抄録
地域包括ケア病棟は生活復帰を目指した認知症ケアに取り組むことが多く,看護職は倫理観を養い,ケアの力を高めることが求められる。本研究では,地域包括ケア病棟の看護職を対象に道徳的感受性と認知症に関する知識・態度の実態を調査し,関連要因を検討した。2県9施設の地域包括ケア病棟の看護職208名を対象に質問紙調査を行ない,97名を分析対象とした。結果について基本統計量を求めた後,Spearmanの順位相関係数,Mann-Whitney U検定,Kruskal-Wallis検定,Bonferroniの多重比較を用いて分析した。分析の結果,道徳的感受性と認知症に関する知識・態度との間には関連はみられず,実務通算経験年数と認知症看護に関する研修受講経験において弱い関連を認めた。道徳的感受性の下位尺度では,【高齢者の尊厳を守る体制づくり】と看護教育の最終学歴・認知症高齢者との共同活動経験,【その人らしい生活を支える】と年齢・実務通算経験年数,【高齢者の能力を活かす】と実務通算経験年数,【栄養摂取法の意思決定】と認知症看護に関する研修受講経験,【高齢者の尊厳を守る体制づくり】と【その人らしい生活を支える】【高齢者の能力を活かす】で弱い相関がみられ,尊厳を守る意識が高いほどその人らしい生活や能力を活かす意識が高い可能性があると明らかとなった。道徳的感受性を高めるには,認知症看護や倫理に関する研修と倫理カンファンレンスの継続的な開催,倫理的気づきを促す環境づくりの必要性が示唆された。