日本農村医学会雑誌
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研究報告
安城更生病院を取り巻く医療環境の現在および未来の問題点とそれに対する院内救急救命士活用の提案
織田 智治稲垣 久美子犬塚 斉藤永 一弥鈴木 麻未都築 有紀久保 貞祐田渕 昭彦
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2025 年 73 巻 5 号 p. 441-448

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抄録
 医療現場は社会保障制度改革推進法や働き方改革関連法に基づき改革を迫られている。安城更生病院(以下,当院)でも,これら改革並びに基本理念の実現に向けて,当院を取り巻く環境の現状把握と予測を行ない,対策を考える必要がある。今回,西三河南部西医療圏(以下,当医療圏)および当院の医療環境を調査した結果で判明した問題点を報告するとともに,その問題点に対する院内救急救命士の活用を提案する。
 当医療圏の現状と将来予測は国勢調査,日本医師会総合政策研究機構および総務省消防庁データを,当院の現状は当院運営会議資料を参考に調査した。
 当医療圏の65歳以上人口および医療需要は,2045年に向けて増加することが予測された。他方で,当医療圏の人口10万人当たりの医師数・看護師数は,全国平均より少なかった。当院における救急車患者数(以下,患者数),救急車緊急入院患者数(以下,緊急入院患者数)およびその入院率は5年間で大きな変化はなかったが,不応需患者数は増加し,その原因の1つにベッド満床が挙げられた。また緊急入院患者数の内,中等症患者の割合は5年平均で74%であった。2022年度入院患者転院搬送数は,同乗する人手不足のために,2019年度のそれに比し,25.5%(176人)減少した。
 我々は2045年に向けて医療需要が増える中,不応需率を減らすと同時に,働き方改革で働きやすい職場を作る必要がある。これらを実現するために,中等症患者の転院搬送体制の見直しと院内の救急救命士の業務拡大が重要であると考える。
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© 2025 一般社団法人 日本農村医学会
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