日本農村医学会雑誌
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農山村地域における頸髄損傷患者の社会生活調査
町田 拓也平山 茂光
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1994 年 43 巻 2 号 p. 72-76

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抄録

都市部と異なり農山村においては障害者同士のコミュニティーは成立し難く, 障害者は何らかの形で, 健常者のコミュニティーと直に接しないと社会生活は成り立たない。このような社会生活環境のなかで最難度障害の一つであるテトラプレギアをもつ頸損患者の退院後の社会的自立度について, 面接調査を行い, 如何なる条件が整えば農山村地域においても, 生活の自立が計られるかを検討した。さらに我々は在宅生活者でなく, 施設入所者についての面接調査も行い, 健常者のコミュニティーと直に接しつつ社会生活を送る在宅障害と障害者同士のコミュニティーのなかでの生活を送る施設入所障害者の社会生活について比較検討した。
対象は在宅生活者10名 (男性10名), 施設入所者10名 (男性9, 女性1名) であり, 全員が身体障害者手帳1級を所持している。経済的生活基盤は両群とも大きく年金に依存している。
日常生活動作の状態では, 施設入所者の場合食事動作以外は全介助を受けている者が大多数である。
重度障害者在宅ケアー (ノーマライゼーション) の必要条件に照らしてみると, 重症度とともに, 家庭における障害者の占めるべき場の有無に絞られよう。在宅障害者と施設入所者の比較では後者が決定的のように思われた。

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