2000 年 49 巻 2 号 p. 137-141
1997年度の長野県厚生連健康管理センターの集団健康診断を受け, 空腹時血糖を測定しえた8,870例の空腹時血糖, HbA1cの平均値はそれぞれ95.3±15.0mg/dl, 5.12±0.50%で, ともに年齢とともに有意な上昇を認めた。空腹時血糖とHbA1cとの間に相関関係が認められたが, 年齢, BMIと空腹時血糖との間に関連性はなかった。HbA1c5.8%では60.8%の例がIFGまたはDMと診断された。HbA1c5.9%では, 68.7%が空腹時血糖が正常であった。健康診断において空腹時血糖値から糖尿病が診断されることは簡便で受診者の負担も少なく, 早期からの治療が期待されるが, いたずらに糖尿病と診断される例が増加する可能性もあり, 空腹時血糖値のみならずHbA1cを併用した慎重な対応が必要である。