日本農村医学会雑誌
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高齢喘息患者の, BDPよりフルタイド吸入に切換え後の咽頭カンジダ陽性率の中期的検討
大林 浩幸土屋 雅子鈴木 利江野坂 博行山瀬 裕彦
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2002 年 50 巻 5 号 p. 695-699

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抄録
【目的】吸入ステロイド剤Fluticasone propinate (以下FP) は, 従来のBeclomethasone dipropionate (以下BDP) と比較し, 気管支喘息治療に, より優れた臨床効果を示すが, 口咽頭カンジダ出現率がより高いと報告がある。今回, BDPよりFPに切換えた高齢患者の, 咽頭カンジダ検出率を検討した。
【対象・方法】BDPで安定する65歳以上の高齢患者53名を対象に, 含漱の再指導後, 半量のFPに切換えた。8週目と6か月目に各々咽頭後壁拭い液で真菌培養し, 64歳以下 (24名) の群とカンジダ陽性率を比較した。同時に, 吸気流速値も検討した。
【結果】65歳以上の8週目の陽性率は, 53名中11名 (20.8%) と, 64歳以下の24名中1名 (4.2%) に比べ, 有為に高い。イソジンガーグル含噺の徹底指導で, この11名中8名が陰転化したが, 6か月後に8週目に陰性であった別の7名が陽性となり, 6か月目の65歳以上の陽性率は, 53名中10名 (18.9%) であった。
【結論】FP切換え後の, 高齢患者での咽頭カンジダ陽性率は, 予想以上に高く, 吸入後の含噺実施度・FP吸入時の最大吸気流速値が大きな要因となる可能性が指摘された。FP使用時には, これらを念頭に中長期的継続した指導管理が重要となる。
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