日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
農村における生活習慣病の臨床疫学的研究
年齢別にみた食品摂取状況と健診成績の関連性について
高橋 恵子桐原 優子照井 一幸荻原 忠林 雅人佐々木 司郎
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 50 巻 5 号 p. 700-707

詳細
抄録

生活習慣病の一次予防の観点から, 基本健診を実施している秋田県南部3町村において生活習慣, 食習慣調査を行い, 男女別, 年齢別にその摂取状況の差, さらに健診時の血圧, 肥満度, 脂質の関連性については, 食品の摂取回数別に異常者頻度及び平均値で比較検討した。
年齢別に食品の摂取回数をみると, 魚介類, 牛乳, 大豆類, 野菜類, 和菓子, 汁物は加齢と共に摂取回数が多く, 肉類は逆に少なかった。高血圧の異常者頻度を食品の摂取回数別に比較すると, 年齢, 性別によってバラツキがみられるが, 汁物, 漬物, 牛乳の摂取回数が少ない人に異常者が高率であった。同様に血清総コレステロールの高値異常者頻度をみると, 女性は肉類, 卵類, 油料理の週2回以下に異常者が高率であり, 両者共に意識的に制限しているためと推測された。従って, 事後指導を行う上で食習慣を調査する際には意識的に制限している食品について把握しておく必要があることを指摘したい。さらに, 肉類, 魚介類の摂取回数別に血清脂質の平均値を比較してみると, 1日1回以上摂取している70歳以上の男性はHDLコレステロール値が高く, 肉類に有意差がみられた。この事は元気で何でも良く食べれる高齢者は, 活動力があるためと推測された。今後, 高齢者の血清脂質異常者群の事後指導を行う上で重要なポイントになると思われる。
また, 便通と野菜の摂取状況の関連性をみると, 排便回数が少ない人程野菜の摂取回数が少なく, 有意差がみられた。

著者関連情報
© (社)日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top