リハビリテーション医学
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失語症患者の社会的予後
東京都老人医療センターで言語訓練を受けた303例について
福迫 陽子物井 寿子鈴木 勉遠藤 教子
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キーワード: 失語症, 職業復帰
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1986 年 23 巻 4 号 p. 219-227

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抄録

失語症患者の社会的予後を明らかにすることを目的に,昭和47~56年までの10年間に東京都老人医療センター(当時,養育院附属病院)言語聴覚科において2ヵ月以上言語訓練を実施して2回以上失語症鑑別診断検査(老研版)を実施した失語症患者303例(平均年齢59.9歳)を検討し,以下の知見を得た.
1) 失語症発症時職業に従事していたものの職業復帰率は28.1%(原職15.7%,配置転換・転職12.4%)であった.
2) 失語症患者全体としては,自宅や老人ホームに戻るものが71.8%と最も多かった.
3) 職業復帰率は,種々の要因により異なった.すなわち,年齢は若いほど,重症度は訓練開始時,終了時とも軽症なほど,訓練開始時期は早いほど,良好であった.失語症のタイプでは,非流暢な構音を伴う失語(ブローカ失語-軽),伝導失語,ついで単純失語(健忘失語)において良好であった.また,原職復帰者のプラトー到達期間はより短かった.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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