抄録
外傷性下肢切断者18例(下腿切断9例,大腿切断9例)の義足歩行と義足を装着しない松葉杖歩行のPCI (physiological cost index)を測定し,両群間における切断レベルによる歩行機能とフィットネスについて検討した.両群の安静時心拍数,松葉杖歩行での心拍数と歩行速度を比較すると,大腿切断者群では下腿切断者群より低いC-R適性(cardio-respiratory fitness)が示唆された.義足歩行と松葉杖歩行のPCIは,いずれも大腿切断者群が下腿切断者群より有意に大きい.両群で松葉杖歩行のPCIは義足歩行に比べて有意に大きく,松葉杖歩行による運動負荷の増大がみうれた.PCIは切断レベルによる歩行機能の違いやC-R適性の差により影響され,群間の比較ではこれらの要因の検討が必要となる.